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真相究明法案〜「国立国会図書館法の一部改正法案」
(Last update 2001.1.26)
「戦争被害調査会法を実現する市民会議」のHPより引用)

「国会図書館法改正案」衆議院で継続審議

2000年11月20日、民主、共産、社民の3党共同提案
 国立国会図書館に恒久平和調査局を設置して、アジア太平洋戦争の戦争被害の実態を調査することを求める「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」は11月20日、民主、共産、社民の3党共同提案で衆議院に提出された。自民、公明の与党を含めた超党派による提出が望まれたが、それは叶わなかった。法案は衆議院議院運営委員会で12月1日に継続審議となった。審議の過程で自民、公明の両党が法案の検討に入ることを期待する。

提出者に鳩山(民主)、不破(共産)、土井(社民)の各氏

 第150回臨時国会の山場を迎えた11月20日、「国立国会図書館法の一部を改正する法律案」が、民主、共産、社民の3党共同で衆議院に再提出された。法案の提出者は、鳩山由紀夫(民主党)、不破哲三(共産党)、土井たか子(社民党)、田中 甲(民主党)、木島日出夫(共産党)、辻元清美(社民党)の6氏で、賛成者は3党の全衆議院議員162名。民主、共産、社民の各党首、委員長が顔を揃えた。

国会図書館で、戦争被害の事実調査を

 同法案はアジア太平洋戦争期の惨禍の実態を明らかにするために、国立国会図書館に設置する恒久平和調査局が戦争被害の事実調査を行い、結果を国会に報告する。調査内容は、強制連行、強制労働、戦時性的強制、生物化学兵器の開発など多岐にわたっている。

法案は「恒久平和議連」で準備

 この法案は鯨岡兵輔、鳩山由紀夫、浜四津敏子、土井たか子、武村正義の各議員を呼びかけ人として、98年9月30日に結成された超党派の「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」(恒久平和議連)が準備してきた。

今回の提出で法案の成立を

 99年8月10日、法案は鳩山由紀夫(民主党)、武村正義(さきがけ)、木島日出夫(共産党)の三氏が提出者となり、民主、共産の全衆議院議員及び無所属の会の中田宏議員ら118名を賛成者として衆議院に提出された。しかし、今年の6月に行われた衆議院の解散によって審議未了、廃案となった。
 今回、20世紀最後の国会に法案が再提出されたことは大変意義のあることだ。提出者及び賛成者の皆様のご努力に敬意を表すとともに一刻も早く審議を促進され、法案の成立を期していただきたい。

自民、公明の検討に期待する

 しかし、残念なことは今回の法案再提出にあたっても、恒久平和議員連盟に参加された自民党、公明党の方々の名前が見られないことだ。自民、公明の両党におかれては、同法案について積極的に検討されることを望みたい。

恒久平和議連に励ましを、議院運営委員に要請を

 戦争被害についての事実調査は世界的な流れであり、避けて通れない。法案は議院運営委員会で審議されることになる。恒久平和議連の方々を励まし、議院運営委員会理事の方々に審議促進を要請しよう。

・提出者(敬称略)
鳩山由紀夫
不破哲三
土井たか子
田中 甲
木島日出夫
辻元清美

・議院運営委員会理事及び各派委員(敬称略)
藤井孝男(自民)
武部 勤(自民)
佐田玄一郎(自民)
佐藤静雄(自民)
坂本剛二(自民)
伊藤忠治(民主)
今田保典(民主)
末松義規(民主)
東 順治(公明)
工藤堅太郎(自由)
*********************
児玉健次(共産)
保坂展人(社民)
宇田川芳雄(21ク)
西川太一郎(保守)

国立国会図書館法の一部を改正する法律案

 国立国会図書館法(昭和二十三年法律第五号)の一部を次のように改正する。

 第六章の次に次の一章を加える。

第六章の二 恒久平和調査局
 第十六条の二 今次の大戦及びこれに先立つ一定の時期における惨禍の実態を明らかにすることにより、その実態について我が国民の理解を深め、これを次代に伝えるとともに、アジア地域の諸国民をはじめとする世界の諸国民と我が国民との信頼関係の醸成を図り、もって我が国の国際社会における名誉ある地位の保持及び恒久平和の実現に資するため、国立国会図書館に、恒久平和調査局を置く。


 恒久平和調査局は、次に掲げる事項について調査する。

一 今次の大戦に至る過程における我が国の社会経済情勢の変化、国際情勢の変化並びに政府及び旧陸海軍における検討の状況その他の今次の大戦の原因の解明に資する事項。

二 昭和6年9月18日から昭和20年9月2日までの期間(以下「戦前戦中期」という)において政府又は旧陸海軍の直接又は間接の関与により労働者の確保のために旧戸籍法(大正3年法律第二十六号)の規定による本籍を有していた者以外の者に対して行われた徴用その他これに類する行為及びこれらの行為の対象となつた者の就労等の実態に関する事項。

三 戦前戦中期における旧陸海軍の直接又は間接の関与による女性に対する組織的かつ継続的な性的な行為の強制(以下「性的強制」という)による被害の実情その他の性的強制の実態に関する事項。

四 戦前戦中期における旧陸海軍の直接又は間接の関与により行われた生物兵器及び化学兵器の開発、実験、生産、貯蔵、配備、遺棄、廃棄及び使用の実態に関する事項。

五 前三号に掲げるもののほか、戦前戦中期において政府又は旧陸海軍の直接又は間接の関与による非人道的な行為により旧戸籍法の規定による本籍を有していた者以外の者の生命、身体又は財産に生じた損害の実態に関する事項。

六 第二号から前号までに掲げるもののほか、戦前戦中期における戦争の結果生命、身体又は財産に生じた損害の実態に関する事項。

七 戦前戦中期における戦争の結果生命、身体又は財産に生じた損害について当該損害が生じた者に対し我が国がとつた措置及び当該損害に関し我が国が締結した条約その他の国際約束に関する事項。


 館長は、前項各号に掲げる事項につき調査を終えたときは、その結果を記載した報告書を作成し、両議院の議長に対し、これを提出しなければならない。

 館長は、第二項各号に掲げる事項につき調査を終えるまで、毎年、調査中の事項についての報告書を作成し、両議院の議長に対し、これを提出しなければならない。

 第二項の調査及び前二項の報告書の作成を行うに当たっては、関係人の名誉を害することのないよう十分に配慮しなければならない。

第十六条の三 館長は、前条第二項の調査を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長に対して、資料の提出その他の必要な協力を要求することができる。

 館長は、前条第二項の調査を行うため特に必要があると認めるときは、同項各号に掲げる事項について学識又は経験のある者その他の前項に規定する者以外の者(国外にいる関係人を含む)に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長が第一項の要求に係る資料の提出を拒むときは、その理由を疎明しなければならない。その理由を館長が受諾し得る場合には、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長は、当該資料の提出をする必要がない。

 前項の理由を受諾することができない場合は、館長は、両議院の議長に対して、第一項の要求に係る資料の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求するよう求めることができる。

 前項の求めを受けた両議院の議長が同項の声明を要求し、これに対して同項の声明があった場合は、第一項の資料の提出の要求を受けた関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長は、当該資料の提出をする必要がない。

 前項の要求後10日以内に、内閣が第四項の声明を出さないときは、第一項の資料の提出の要求を受けた関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長は、当該資料の提出をしなければならない。

 附則

1.この法律は、平成13年4月1日から施行する。

2.当分の間、国立国会図書館の職員(館長、副館長、休職者(これに準ずる者として館長が定める者を含む)及び非常勤職員を除く)の定員は、895人とする。

 本案施行に要する経費

本案施行に要する経費としては、平年度約2億5千万円の見込みである。