関釜裁判ニュース第56号

十月 不二越第二次訴訟 控訴審結審、不二越正門前座り込み闘争に参加して  

花房恵美子


五月の原告団総会での、原告たちの固い決意:「(社長に会うまでは韓国に)帰らない!私たちを止めないでほしい!」を聞いていましたし、七月に訪韓したときもキム・JOさんたちから「片道切符で行く」と直接聞いていましたので、今回の結審のときは大変な闘いになることが予想できました。なんとか参加して皆さんと共にありたいと願い、十月四日から七日まで北陸入りしました。

今回の不二越闘争に関して、北陸連絡会で深刻な討論がなされたと聞いていました。原告の気持ちに寄り添うということがどういうことなのか、現場に来て考えさせられました。原告ハルモニたちの叫び:「私たちを止めないでほしい!」を日本側支援者としてどう受け止めるのか困難な判断だったと推測します。

結審で意見陳述をする予定だったキム・JOさんは、息子さんが直前に交通事故に遭われ、骨折し、腰と足の手術をされたので、来日できなくなり、急遽、ユ・CAさんが意見陳述されることになりました。
今回は十月二〜四日の秋夕(チュソク お盆)と重なったために、結審にはユさんお一人だけ四日に来日され、他の原告たち(アンさん、チョンさん、チェさん、キムさん)は六日お昼前に来日して、柳さんと合流し、不二越正門前座込み闘争を開始しました。
広島から車でDさん、Tさん、Fさんが駆けつけ,ユさんが大喜びされました。

不二越正門前にバリケードが張られていたので、約一キロさきの駐車場から歩道デモをしながら正門前まできました。着いたとたん、ガンガン、バリバリとバリケードを蹴破る音がして、アッと言う間にバリケードが突破され、三十人以上の職員・警備員と対峙しました。道路の反対側には立派な背広を着た十人以上の集団がやたらビデオをとっていました。良く見ると警察集団でした。
警備の人を殴っていたハルモニたちが門の隙間から構内に滑り込んで、もみ合っているうちにチョンムさんが気分が悪くなり、救急車を呼びました。
ここまでの戦闘力、ここまでの思い!!
ハルモニたちの尊厳回復への強い意志に身が引き締まる思いでした。
カメラマンのチェさんは原告たちと一緒に構内に入りこみ、警備員と揉みあいながら撮影していましたが、時おり泣いているように見えて、後で聞いてみると、「ハルモニ!お願いだからもうやめて外に出てほしい!」と言われていたそうです。富山地裁での判決から二年、地裁判決時の原告たちの激しい闘いを見ている彼女は、この二年間のハルモニたちの体力の衰えを身近で感じ、愕然としたようです。
膠着状態の時にはハルモニたちは警備員に「説教」しておられました。神妙な顔をして聞いている彼等に、職業上の顔と、人間としての顔が交互していました。

夜の宿舎では、アンさんは内出血して黒くなった手の甲を見せながら、「(警備員や職員を)殴ってやった」と誇らしげに話し、皆さん、それぞれの武勇伝を話しておられました。
ハルモ二たちの思いに応え、二週間に及ぶ控訴審結審と不二越正門前座り込み闘争、国会議員たちへの要請などの行動を組んだ、北陸連絡会と支援する方々に深く感謝します。

(全体の行動は北陸連絡会からの報告をもとに次ページに載せています。)
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