裁判を傍聴して
佐藤哲雄

 意見陳述をするため、原告たちは、緊張して前日から眠れず、報告集会でも緊張で固くなっていました。福岡までの帰りの車の中は軍歌の大合唱でした。挺身隊で日本にいた時、苦しい生活を忘れようとして歌った軍歌(海ゆかばなど)を実によく覚えているものだと感心する程でした。皇国少女として教育された結果だと複雑な気持ちでした。「意見陳述」という緊張から解放されるため、軍歌を歌う原告たちに、同情した自分はただただ呆然とさせられました。



報告集会(下関バプテスト教会)

 長崎の金順吉(キム・スンギル)裁判(長崎の三菱造船所へ強制連行され、被爆。国と会社が被告。未払い賃金訴訟)は「国家無答責」を主張して、裁判を打ち切ろうとしているとの報告がありました。これとの関連で李弁護士は新憲法後も被害者を放置し続けた「不作為」故に裁判の打切りは出来ない筈だとした上で、国の責任を立証する為にも加害者の掘り起こしへの協力を呼びかけられました。