堂々と意見陳述
不二越訴訟第二回口頭弁論報告
武藤貢(福山連絡会)
福山から車を走らすこと七時間、どうにか朝の不二越本社前でのビラまきに間に合い参加した。
その後、原告の柳Tさん、朴SUさんらと不二越やその周辺を見て回った。社内を見ることは叶わず、当時のことを思い起こすまでには至らなかったものの、朴さんは、南門の緑地帯を指さして「この辺に警備の詰め所があったような気がする」とかすかな記憶をたぐりよせようとしていた。そして、「社長の家に行こう」と一言。きっとこの一言は「社内に入るな」という不誠実な不二越の態度に憤った朴さんの思いの一端だろう。わたしには「しっかり闘ってほしい」と言うように聞こえた。
そして意見陳述の打合せをし、裁判に備えた。
第二回口頭弁論は、四○分という時間制限を受け、二人の原告の意見陳述を中心に行われた。柳さんは、「富山来るときうれしかった 一夜過ごせば悲しきよ いつかこの工場去るでしょうか ああ ああ 陰で泣く涙は」と挺身隊歌の替え歌を歌い上げ、過酷であった労働条件について訴えた。
朴さんは、不二越での生活の様子や空襲によって不眠症になったこと、帰国後も困難な生活を強いられていることを訴えた。
そして、二人とも力強く不二越と国に対して謝罪と補償を求めた。
傍聴席を埋め尽くした人々や弁護団は、二人の意見陳述を心に刻み込もうと必死になる一方、被告側は時間が過ぎるのを待つかのように空を見つめているのが大半であった。相変らず不誠実な態度だ。
また、原告側弁護士からは、六人の被害者の証言と被告・国側が主張する国家無答責という法理に対する反論要旨が、準備書面として裁判所に提出され、被告・国に対する意見書も提出されたことが述べられた。第二回口頭弁論後には、記者会見も行われた。
夜には、第二次不二越強制連行・強制労働訴訟報告集会が行われた。
共同代表の一人であるUさんの絶妙の司会の下で行われた報告集会では、原告二人は挨拶もこめて「十年を越えて闘ってきましたが、まだ結果は出ていないがよい結果が出るまで頑張る」と静かな闘志を披露した。
関釜裁判支援関係者からは、わたしが挨拶した。「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊を支援する会」の高橋さんからは、韓国での調査活動や三菱との交渉、被害者との交流などきめ細かい報告があり、最後にはがき要請行動への協力を呼びかけた。
休憩をはさんで島田弁護士から第二回口頭弁論の報告があった。報告の中では原告による意見陳述の重要性をあらためて確認し、今後九○分間の弁論時間を確保することが可能になったことが述べられた。
Uさんの機知に富んだ司会によってさまざまな人が発言。最後に次回三月一七日の口頭弁論への結集を確認して報告集会を終えた。その後、原告たちを囲んで交流会が行われた。かくして、長く充実した一日が終わった。と、思いきや、名古屋の高橋さん、福岡の花房さんと交流、結局床に就いたのは翌日。疲れたものの、富山で学んだことを生かして、今後も福山の地で頑張っていこうと思う。
第二次 不二越訴訟 第三回口頭弁論
二〇〇四年三月十七日(水)十三時半より十五時 富山地裁にて
裁判の傍聴をお願いします!