関釜裁判ニュース 42号

 韓国訪問に参加して 

  宮野寿美子(福山)

 韓国の温陽温泉行きに参加させていただきました。
 のんきな私は、今回の訪韓の目的を認識せずただ自分だけの思いと、旅行費用の安さで行きたいと思いました。この十一年の成果は? 女性基金・関釜裁判・最高裁の棄却・教科書問題・有事法制・アメリカの一方的な戦争・核心を報道されなかった女性戦犯法廷(天皇の戦争責任有には拍手喝采でしたが)、ただ一つ一つの対処におわれ権力に押し切られただけなのではないか。日本人の無理解と無関心。これからの私自身がどうすべきか。だから無理してでも今のこの機会にハルモニにお会いしよう、お会いしたいという気持ちでした。
 念願かなって、仁川空港ロビーに笑顔でお出迎えの朴小得さんが居られました。温陽ホテルでハルモニたちと合流。しかし、この「最高裁判の棄却報告」という悔しい・情けない・申し訳ない・辛い場所に居合せることとなりました。
 棄却報告に「かえって私たちが申し訳ない」「どうもありがとうございました」「広島にちょっと希望したのに」と話されるハルモニたちとの交流の中で、日本人である私と、ハルモニとの立場の違いを思い知らされました。
 すでに裁判では退けられ、それをどうしようもないとあきらめて教科書問題や何が出来るだろうと考えている私と、「なぜ、未払い賃金を払わないのか、こじきのようにくれと言っているのではない。働いた当然の要求をしている、答えてほしい。日本人は全部そうですか」とハルモニの問い。今でも、正義が行われない日本に、憤懣やるかたない胸の内を知らされました。
 ハルモニの問いにどのように答えられるのか、今はまだわかりませんが、ハルモニの思いはおみやげと一緒に日本に持ち帰りました。あわただしい旅行の行き来と、ホテルでのハルモニたちとのゆったりした優しい時間を感謝しています。

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