報告会での原告団の言葉
上告棄却という冷酷な結果にハルモニたちは気を落とし、言葉少なに今の心境を語って下さいました。出来る限りその場の雰囲気を伝えたく、時間の流れに沿ってハルモニたちの言葉を紹介しました。(テープ起し、まとめ・緒方貴穂)
李金珠(イ・クムジュ)さん(光州遺族会会長)
「皆さんご存じでしょうが、私は高齢ですので、耳も目も言葉もみんな鈍くなりまして、よく聞こえません。でも少しだけ話してみます。何よりも今日お会いしたのが嬉しいし、本当にありがとうございます。
皆様とお会いして、足かけ十一年だと思います。過ぎ去ったことですので短く見えますけれども、十一年といえば大変長い年月だと思います。その間支援会の皆様にお世話をたくさんかけており、感謝と共に敬意を表します。六つの裁判で、光州遺族会では地裁、高裁、最高裁で、棄却、棄却、棄却の判断で、心は痛むばかりで、原告たちがかわいそうでたまりません。でも、後悔はしません。皆様がやるだけ一生懸命に闘争していただきましたので、もう「恨」(ハン)はありません。再び、皆様に感謝しながら、この話はこれで終わります。
この後も私はとても忙しい毎日です。昨日は、あの浮島丸裁判でまた一審とはまるっきり反対に棄却されたので、帰りには本当に心が重く、体全体がとても重たかったです。浮島丸原告団の団長チョン・スンニョンさんが入院中です。それでチョンジュまで行ってお見舞いをして帰りました。そして昨日は韓国内でも、強制連行に関して真相究明会が発足しました。そこで今まで生きておられる徴用された人たちとそれから戦争の時に犠牲になった、その遺族たちのことで公聴会がありました。そこに一昨日行って、昨日の晩遅く帰りました。とても辛いし、きついし、心は痛いし、でも今日皆様とお会いしまして相当慰められました。
話したいことはたくさんあるけれど、もう言葉が出ません。すらすら流暢に話した日本語ではありません。昔とは違います。昨年とも違います、先月とも違います、こういう状態ですのでこれで終わります。失礼しました。
(この後、ハルモニたちがそろって「ありがとうございました」と頭を下げられた)
朴・S(パク)さん
韓国語で思いを述べられた後、「すみません、ありがとうございました」と車座になっている私たち一人ひとりに握手をして回られた。
梁・K(ヤン)さん
「広島にかけた裁判はちょっと希望したのに…。涙で今まで生活したのが、ほんと胸が痛いです。皆様、本当に一生懸命私たちのためにやったのに負けて…すみません。」
姜・Y(カン)さん
「十年過ぎ、今まで裁判したこと、後悔している。皆様が苦労して…結果がこんなになって、何の話もでません。」
朴・S(パク)さん
「かえって私たちが申し訳ない。皆様が今まで一生懸命したのに…すみません。話は多いけど、できません。ありがとうございました。」
《二日目のミーティングでの言葉》
李・S(イ)さん
「頭下げる。おれは話はっきりできないし、体が全部痛いし、兵隊さんに叩かれて。あの人たち、一人ここにおったら、おれが首殴ってしまう。涙が出るから、話しない。この体全部自分の体じゃない、兵隊さんの体。頭が痛くて、毎日病院行って注射して、毎日薬飲んで、金がなくて…。話があってもできない、体が全部痛くて…、話長くしたらだめ…。」
柳・C(ユ)さん
「日本の皆様、どうもありがとうございました。私たちのためにみんな一生懸命働いてくれたのに、こういうふうになって、話にならないです。」
李・Y(イ)さん
「日本の皆様、十年間、長い間ありがとうございました。私たちのために苦労したのに、こんな結果になって…何の話をしていいのかわかりません。私はあなたたちにお土産の一つも買ってくることもできないし、いろいろいつも迷惑ばかりで、どうもすみません。…もう少し頑張って下さい。話は山々だけれど、よくしゃべれない。日本語上手じゃないから…(この後、韓国語)。」
朴・Sさん
「不二越、どうして勤労させて、その金を私たちに払わないのか、それが知りたい。私たち一生懸命働いたのに…。私は働いた金をくれと言ってるのに、聞きもせず、工場に行ったら門の鍵を閉めて…。こう言ったらあなたたち気分悪いかもしれないけど、日本人たちは全部そうですか。自分たちが必要なときはどの国でも引っ張ってきて使って、必要ないときはそのまま…。どうしてそんなに人をバカにするの。」
梁・Kさん
「連れてくるときは、お金もたくさんやるし、女学校にも行かせてやると約束した。何もない。日本人の学生はみんな美味しい果物、ご飯もいっぱいだった。私たち何もない。私たち一日八時間仕事したら、腹が減って話ができない。そんなに熱心にやったのに、どうして月給もやらない。手紙を書いたらみんな見て、悪い話を書いていたら、寮の舎監が「腹も減らないし女学校も行ってるから安心して下さい」と、その話だけ簡単に送った、二枚だけ。私一ヶ月に二、三回送ったのに…。今まで一生懸命働いた体、病気しか残っていません。シンナー、ペンキ塗るとき目に入って、手術して、鼻も手術したけれど…、今、毎日薬飲まないと…。どうして、何の理由で棄却したのか…それが一番悔しい。」
李・Yさん
「十二、三歳の子どもを国民学校のとき連れて来て、いろいろ嘘ばっかりして仕事だけさせて…。みんな病気ばっかり残っている…。」