二次提訴の原告を迎えて
第二回口頭弁論―国側から準備書面が提出されました

山下英二

 関釜裁判の第二回口頭弁論は去る
1213日に山口地裁下関支部で行われました。
 玄海灘から冷たい風が吹き付つける中、関釜裁判を支援する各地からの仲間たちが駆けつけて来ました。裁判所が準備した45枚の傍聴券はすぐに無くなり、今回も法廷に入れず、外から見守る支援者が沢山いました。
 法廷では職員がわざわざ「一度退席した者は再入廷できない」と注意したり、職員の異常な配置を見たとき、現在大きな社会問題として国の内外から注目されている裁判だけに、裁判所のほうがピリピリした緊張感に追い込まれているような印象を受けました。
 被告国側から6名、原告弁護士は山本、李、山崎、福島の5氏そして傍聴席を一杯にした支援者、記者達が見守る中で、予定より少し遅れて第二回口頭弁論が開廷されました。第一回口頭弁論の時に支援者の皆さんから指摘されたのと同じ様に、今回も発言者の声がほとんど聞き取れない状態でした。小さい声で何かわざとらしくボソボソした話し方しかしないところに、司法権力の権威を感じさせられました。
 弁論では被告の国側から準備書面が提出されたことを確認しあいました。第二次提訴についても第一次提訴と一緒に審理していくことを申し入れました。裁判官から次回の日程が3141330分から行うことが確認され、この日の口頭弁論は終了しました。傍聴席から「もう終わったの!」と声が上がる位、あっけなく終わり、8分位で閉廷になりました。
 弁論が終了した後、直ちに第二次提訴の訴状を弁護士とハルモニ達で裁判所の窓口に提出し、手続きを済ませました。
 会場をバプテスト教会に移して報告集会を松岡さんの司会で開催しました。
 先ず、光州遺族会の会長の李金珠さんから李順徳さんが紹介され、引き続き釜山挺身隊対策協議会の金文淑さんからは、李YOさん、朴SU、姜YOさんの3名の紹介と、鄭水蓮さんは足が不自由なため、裁判所に来ることができなかったと報告がされました。(5人は第二次提訴の原告。)
 そして4人の原告達は自分の苦しかった体験を語り始めました。辛かったこと、苦しかったこと、悲しかったことを思い浮かべながら、何度も何度も涙を拭いながら切々と語り、訴えました。
 今なお暗く、重たい過去を引き摺って生きていかざるをえない彼女たちの胸の叫びを聞きました。
 続いて、国側が今回提出した準備書面の内容について、山本弁護士からポイントが報告されました。
「勤労挺身隊の強制連行について触れておらず、動員した法律や規定があったことは認めているが、過去の事実について語ろうとしていない点が準備書面から読み取れる。
 しかし、従軍慰安婦問題については、かなり踏み込んでいる。軍が関与したこと、強制があった事実について認めるとなっている。このことは外交的問題から配慮してやむをえず認める態度になってきたこと。法律論では、道義的国家たる義務に対して、『憲法が他国の人民と個人に対して謝罪と賠償をすべき具体的義務を負わせているとは思わない』と反論をしてきている」と準備書面の簡単な分析を報告しました。
 さらに、傍聴者の要望で裁判の内容が聞き取れないという苦情に対して、スピーカーが設置されているので、次回からは使えるように裁判所に要請したことも報告されました。
 約2時間にわたった報告集会は記者会見と合わせて行われ、各地からの支援者が会場を埋める中で、新たに提訴した第二次原告たちと、心を合わせてこれからも頑張っていくことを確認し終わりました。