戦後補償全国交流会で熱い議論
深まった連帯感 新たな課題も

松岡澄子

 「戦後補償を求める全国交流集会」が12月18日、19日東京でもたれた。
 裁判だけでも21件提訴されているこの問題への思いは熱く、50余名が情報交換とともに熱っぽく議論し、連帯の輪を深くした。

高木弁護士の「戦後補償問題に関わる論点」の講演は、今ホットな問題である戦後補償ニュースに展開されている議論と、韓国挺対協(本部ソウル)が提起している責任者処罰問題に対する見解であった。またこの2点は2日間の交流集会の中心的議論ともなった。
 ここでは責任者処罰問題について報告する。
 93年10月埼玉で開かれた第2回強制「従軍慰安婦」問題アジア連帯会議で韓国挺対協が提起した「日本政府は責任者を明らかにすること。責任者は処罰されなければならない。」が決議された。

《告発状》

・    告発人     韓国挺身隊問題対策協議会

・    非告発人   ・「性的奴隷制」の企画、立案し、これを執行すべく指示、命令した重要な軍人、軍属、民間人
           ・暴行及び脅迫、欺もうによって募集した指導者、民間業者
           ・慰安所を管理・運営した軍隊の責任者

・    犯罪行為   戦争犯罪たる「人道に対する罪」

・    時効不適用  非人道的犯罪は国際法に従属し時効制限に付いての原則はない

・    告発の契機と意味 
被害の重大性に対して日本政府は不誠意な態度をとり続けてきた。これ以上日本政府に何かを期待することは不可能だと悟った。日本の検察に中立性、独立性、不偏不党の誇らしい伝統のあることに期待する。単純に金を望んで、富める者となった日本にうるさくねだっているのではないことを証明し、正義を回復しようとする一念である。ドイツにおける戦争犯罪追及のように残酷な犯罪であるかぎり、同一に処断されねばならない。

 この韓国挺対協の告発状に対して、裁判で原告をかかえている運動体からは疑問や危惧がだされた。具体的に誰を刑事被告人にするのか、検察を信頼できるのか、現実に検察官が告発を受けて捜査するのか、補償請求裁判との関係、告発は補償のために必要か、告発のデメリット等である。

慰安婦裁判をやっているグループの分科会では、94年度予算に盛り込まれるであろう国の補償に代わる措置のことが話題になった。責任を曖昧にし、同情的な基金構想ではなく責任を認め謝罪の意をこめた補償をさせていくことが確認された。

また、机上のものでなく、元慰安婦たちが何に困り、何を望んでいるか、彼女らの側に立った補償の構想を打ち出し、政府に提案するために、生活実態聞き取り調査を行うということになった。

交流集会参加の感想

全国交流集会に参加して熱い息吹に刺激された。特に在東京の運動体は政府の動きと直なので、政府機関との話し合い、議員懇談会、ロビー交渉など、重要な活動をされていることに感謝と敬意を表したい。

正直言って、地理的・状況距離的に安堵する一面もあるが、同一戦列でがんばらねばとも思わされた。



尚、1月15日の東京からの連絡では、2月7日に、告発人に韓国挺対協の被害者を加えて、日本の検察に告訴・告発するようである。

責任者処罰は運動の進化の過程でつきあたる課題だともいえるが、94年、95年のヤマ場を迎えて重大な課題が提起されたといえる。