新たな気持ちで立法化への取り組みを!

花房俊雄

 「慰安婦」被害者への賠償立法を命じた一審下関判決は、広島高裁で取り消されました。60件を越える戦後補償裁判で唯一の勝訴判決が取り消され、日本の司法はアジアの戦争被害者の救済をする意志も能力もないことを鮮明にしました。今後わたしたちは立法による解決に全力を傾けることになります。本腰を入れて、より深く政治と社会の動向を分析し、よりアクティブに政治にコミットしていくことになるでしょう。

 とりあえず今回、立法化にとって緊急の取り組みを提案します。現在国会に二つの戦後補償法案が議員立法として提出されています。一つはすでにご存知の通り、真相究明法案である「国立国会図書館法の一部改正法案」が衆議院に昨年末上程され、継続審議扱いになっています。もう一つは先日の3月21日「慰安婦」問題解決法案である「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法案」が民主、共産、社民の三党合意で参議院に提出されました。まずはこの二つの法案の審議入りを目指さなければなりません。そのためには、各法案が提出されている衆参各議院の議院運営委員会理事会で法案の取り扱いが検討され、審議入りが決定されなければなりません。真相究明法案は図書館運営委員会に、「慰安婦」問題解決法案は参議院内閣委員会に早期に委託し、審議がなされるような各議院運営委員会理事に手紙やFAXで激励、要請を行っていただくようお願いいたします。思いを込めた手書きの手紙は意外と効果を生みます。原告の方々の顔を思い浮かべながら、筆を取ってくださいますよう重ねてお願いいたします。地道ではありますが、気力のいるこのような行いでわたしたちは戦後補償を少しでも前進させることができます。

 最後に前回の関釜裁判ニュースでお送りしました「慰安婦」問題立法化の要請署名は皆様の熱烈な協力により約三万筆が集まりました。ここに深く感謝を申し上げます。