原告滞在記
花房恵美子
 
 新緑が目にまぶしい5月12日午後一時半、原告団は福岡空港に到着。
 朴SOさんは五度目、柳Tさんは四度目、朴SUさんは三度目、金文淑さんは数え切れずの来日です。
 提訴ではじめて来日されてから二年半。原告団をお迎えするのは八度目になります。が、長かったような、短かったような・・・。(早く解決してほしいと願う原告たちにとっては、あまりにも長い時間です)。裁判で来日されるたび、日本人といい出会いをして、彼女たちが少しでも癒されてほしいと生意気なようですが願ってきました。今回も祈りにも似た思いでそのことを強く願っていました。
 しかし皆が帰国されて、若干の疲れの中で、空虚というか、寂しい思いに浸っていると、癒されていたのはこちらのほうではないかと感じさせられます。四泊五日の全行動を共にするという濃密な接し方を初めてしたので、今はとても整理することができません。
 朝の散歩のとき、野草を摘んできて食べ方を教えてもらいました。体の弱ったときの韓国式おかゆの作り方も。体を温める薬草茶の作り方も。
 一緒に二日市の温泉に入ってくつろいでいると、今まで「お母さん」のように思っていた彼女たちが「お姉さん」のように思えてきてそう言ったら、朴SOさんが喜んで「妹よ」を連発していました。
 彼女たちの生活の知恵の一端を聞きかじりながら、働き者で賢い「女性」の姿が見えてきました。そう!魅力的な女性たちです。こちらが真心をもって接すると、あふれるほどの愛情を注いでくれます。
 日本に住むたくさんの人が彼女たちとよい出会いをしてくれることを願ってやみません。
 足を痛めていたのに下関でのデモを最後まで、先頭で歩かれた釜山挺対協会長・金文淑さんは、かばん一杯の資料を持って帰国されました。朝鮮で1944年頃発行された新聞を調べること等たくさんの宿題を自分に課されたのです。挺身隊問題の真相究明にかける執念を感じさせられました。