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申し入れ書

NHK福岡放送局様

2005年1月17日

 私たちは報道の自主・独立性を望み、とりわけ権力を持つ政治家からの圧力に屈せず、公共放送としての責任において報道の自由を守ってほしいと切望するものです。また、私たちの中には90年代初めからの日本軍「慰安婦」被害者の証言に衝撃を受け、日本軍のなした戦争犯罪の重さを知り、さらに過去のみならず現在も続く戦争と性暴力の問題と考えて、女性国際戦犯法廷に参加した者もいます。

 今回、NHKのチーフ・プロデューサー長井暁さんが勇気ある内部告発を行い、番組が放送直前に国会議員の介入により、改ざんされたことをあきらかにしました。女性国際戦犯法廷は外国メディアの報道に比べて、日本での報道は異常に少なく、人権感覚の低さを露呈する中で、NHKがETV特集を組んだことは「公共放送」としての見識を示すものでした。しかし報道された内容はあまりに不自然でした。そのときのことを想起する時、今回の内部告発であらためて合点がいきました。

 しかしこともあろうに、12日の新聞報道に対し、NHK広報局が「当時の担当者が様々な国会議員に対して説明した際に、この番組について話題になったことは事実。しかし、これによって、番組の公正さ・公平さが損なわれたということはない。」とコメントしています。またNHK放送総局長が「国会議員に会ったのは放送後」とコメントし、貴放送局責任者が中川昭一、安倍普三両国会議員と口裏を合わせ、再び事実の隠蔽を図ろうとしている事に怒りを覚えます。

 予定された番組では、中国の「慰安婦」被害者の証言、元日本軍兵士の証言が入っていたのに、それらが消され、4分短い番組として放送されました。彼女らの証言は民衆法廷の核心でそれらが消された事に無念と申し訳なさを感じます。

 権力の座にいる国会議員の圧力に屈して、報道内容を変えたことは、NHKが憲法で保障されている報道の自由と表現の自由を自ら手放したことになり、視聴者への重大な背信行為です。この決断をした当時の責任者の罪は重いと言わざるを得ません。

私たちは以下のことを要望します。

(1)隠蔽に走らず、真相究明し、情報公開し、説明責任を果たすこと
(2)関係責任者を処罰すること
(3)視聴者に謝罪し、改ざん前の番組を再放送すること
(4) 内部告発者に不利益になるような処遇をしないこと
(5)今後、政治家の介入に対して、毅然とした態度を貫くこと

以上に対して2月17日までに文書による誠実な回答を求めます。もし、誠実な回答がない場合は、受信料の支払い拒否を含めた広範な抗議運動を展開いたします。

 どうぞよろしくご検討をお願いいたします。

 

賛同者(2005年1月17日現在183名、2団体)
連絡先:花房恵美子